雑本(続)

例によって軽いが、面白い本をいくつか紹介したい。
一番面白かったのは、『あなたの隣の精神疾患』(春日武彦、インターナショナル新書)。うつ、統合失調症、神経症、パーソナリティ障害など、精神に問題を抱える事例をわかりやすく紹介している。この本の面白さは、正常と異常の差、推移、その要因を、精神科医としての丁寧な観察と洞察に基づき実例を通してリアルに描いていること。そして、疾患の背後には人間のあさましさや身勝手さがあり、誰でも異常側に移る可能性があることを知る。文章も読ませる。早速同じ著者の別の本を注文した。
次に『朝日新聞の黙示録』(宝島社新書)。2020年に大赤字を記録した朝日新聞について、その経営状況(高コスト体質)、賃金カット交渉、社主制度の廃止、「吉田調書」「慰安婦」報道問題などを取り上げている。どれも興味深い内容だが、特に渡辺前社長時代に打ち出した収支改善策のうち新規事業(「出前館」、婚活クラブ、自分史、クラウドファンディング「A-port」他、どれも失敗)には思わず笑ってしまった。特に前線の販売店は気の毒である。
朝日と立場は似ているが、毎日新聞の高橋祐貴氏の書いた『幽霊消防団員』(光文社新書)は、すばらしい。地域の防災を担う消防団には、実際に活動していない幽霊団員が多数いて手当てが支払われ、飲み食いや慰労旅行に使われているという告発である。誰も触れたがらず、やりたがらない取材を積み重ねている。著者は若手だが、東京五輪の運営委託業務など調査取材で注目されているという。頼もしい存在だ。
他に、『コロナ自粛の大罪』(鳥集徹、宝島新書)、『不動産大異変』(太田垣章子、ポプラ新書)、『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン、新潮新書)もおすすめ。

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