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健康キノコ タモギタケを栽培して20年 黄金たもぎ園 粟生田勝吾さん(小川町)

免疫力を上げ認知症にも効くという健康キノコ、タモギタケが、注目されている。小川町の「黄金(こがね)たもぎ園」の粟生田勝吾(あおうだ・しょうご)さんは、退職後タモギタケの人工栽培に乗り出し、20年にわたりこの珍しいキノコを作り続けてきた。粟生田さんに、タモギ茸について、ご自身の歩みについてお聞きした。

タモギタケ
タモギタケ(黄金たもぎ園)

免疫力を強くする

―タモギタケはどういうキノコですか。

粟生田 キノコの中でも特に体によい成分が多いです。 

―体にどのようによいのですか。

粟生田 免疫力を強くする成分が非常に多く含まれる。そのためにガンだとか糖尿病だとか花粉症とかにかかりにくくなる効果があるということが、あちこちで報告されています。

―認知症に効くという話もあるようです。

粟生田 東京のお茶ノ水健康長寿クリニックの白澤院長が言われています。 

2003年、66歳の時に栽培を始める

―タモギタケは自生しているのですか。

粟生田 元々北海道から東北の林の、タモという木の切り株に自然に生えています。タモは野球のバットに使う材料です。

―人工栽培はいつ頃から行われているのですか。

粟生田 人工栽培(菌床方式)は20年ほど前に開発されました。

―粟生田さんが始めたのはいつですか。

粟生田 私は2003年、66歳の時に、今でもお世話になっているある先生に指導をお願いして始めました。その人は、このキノコの人工栽培を一生懸命研究している方です。

シチズン時計で半導体IC事業の立ち上げ

―それまでキノコのことは知らなかったのですか。

粟生田 私は東京教育大学(現筑波大学)物理学科の出です。シチズン時計という会社に行って半導体IC事業の立ち上げに携わりました。その後本社の企画部に呼ばれ新事業開発室長として新しい事業を考えることに。これからは健康だと、健康機器と健康食品の事業化を検討し、機器(体温計とか血圧計)は経営の柱の一つに育ちました。健康食品の候補にキノコも提案したのですが、時計屋がキノコはどうかと社長から言われて。

その後、定年間近59歳の時 シチズン岩手(今のシチズン東北)の社長をやれと。中国展開したり国内の再編成を済ませ、もう会社は整理していいから自分で仕事を見つけろということで、またキノコを事業化しようと計画を出したのですが そのうち半導体関係の部品を作る仕事が増えてきてキノコはあきらめた。会社時代からキノコと関係はあったということです。

―会社を辞めてから実際にキノコを始めたということですね。

粟生田 社長6年で故郷の小川に帰ってきた。私はゴルフが大好きなので2ヶ月くらいゴルフ三昧でフラフラしていたのですが、何かやりたくなって、やはりキノコだと。それで先生に声をかけていろいろ教えてもらって始めました。 

―すぐに作り始めたのですか。

粟生田 そうですね。66歳で黄金たもぎ園の名で始めました。

―人工栽培の例は少なかったのですね。

粟生田 全国で十数人でした 今でもそんなものです。関東地方では私しか作っていないと思います。珍しすぎてあまりもうからないのです。

温度と湿度と光と酸素とをコントロール

―タモギタケを栽培する施設はどのような設備ですか。

粟生田 温度と湿度と光と酸素とをコントロールしています。適切に管理しないと、形と成分とちゃんとしたものができない。湿度はほとんど100%、蛍光灯の光を当てる。光がないと白くなっちゃうし、日光みたいに強いと黒くなっちゃう。

タモギタケ
黄金たもぎ園施設内で栽培されるタモギタケ

―菌床にキノコを植える。

粟生田 最近のキノコはみなオガクズを固めた菌床に菌を植えます。業者が菌を植えたものをトラックで持ってくるので、中に入れて置きます。

―どのくらいで収穫するのですか。

粟生田 持ってきて1週間で芽が出る。それから1週間で採れます。

―難しさはどこにありますか。

粟生田 微妙なキノコなので条件が少しでも狂うといいものができません。

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JAの直売所で販売

―販売はどこで。

粟生田 JA(農協)の直売所です。今は比企郡の吉見、松山、滑川、ときがわ、嵐山、小川、東秩父の7店舗です。あとはインターネット(通信)販売もあります。

―包装は。

粟生田 パートさんを2人使っています。

―値段は。

粟生田 生100g入りのパックが250円。乾燥品35g(生4パック分)は550円。粉末が1袋(11パック分)2500円です。売り上げの半分は粉末です。

―お客さんの反応はどうですか。

タモギタケ生パック
タモギタケ生パック
タモギタケ乾燥品
タモギタケ乾燥品
タモギタケ粉末
タモギタケ粉末

粟生田 粉にしたものを飲んでいる方からは、家族みんなで飲んでいて飲まないと体調が崩れると、繰り返し注文をいただくことが多いですね。

テレビで取上げられると売り切れる

―事業を始めてもう20年になるわけですね。

粟生田 あしかけ20年ですが、決して事業としてはうまく行っていません。利益はほとんど出ていなくて、年金を取り崩している状況です。 

―昨今の健康志向で注目されてきているのでは。

粟生田 注目されてはきています。時々テレビで取上げられたりするとたちまち売り切れます。 

―では伸びているのですか。

粟生田 それでも横ばいですね。もっと本格的にやり、コマーシャルもすれば売れるんでしょうが。

―20年続けてこられたのだからすばらしいと思います。

粟生田 いや、趣味です

86歳

粟生田さん
粟生田さん

―今おいくつですか。

粟生田 86歳。9月で87になります。

―退職後、新しい事業を始め長く続けているということで、高齢者の一つの理想とする生き方のように見えます。

粟生田 まあ、そうも言えなくはないでしょう。直売所回って若いおばさん方と馬鹿話をするのが年をとらない秘訣かもしれません。

―跡継ぎは。

粟生田 娘が4人いるんですが、皆嫁に行ってしまって。娘の旦那たちも継ぐつもりはないし継がせたくもありません。

ゴルフと野菜とキノコで、年を取るひまがない

―他の趣味は。

粟生田 ゴルフと野菜作りを少しやっています。ゴルフと野菜とキノコで、年を取るひまがありません。

―元気なのはキノコを食べているせいですか。

粟生田 それもおおいにあると思います。

(取材2024年3月)

黄金たもぎ園ホームページ

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