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杉の香りが睡眠を改善 「百年杉」で健康ニーズを開拓する 加藤木材(加藤政実社長)

杉の香りで、眠りが改善する-。狭山市の加藤木材(加藤政実社長)は、杉材の鎮静効果に注目し、高樹齢の杉「百年杉」を使い、家具や壁面パネルとして製作している。今は不人気の杉材だが、新たな用途の発見で、杉の木が復活する可能性もある。

高樹齢の杉の方が香りが濃厚

-「百年杉」とは。

加藤 80年から150年くらいの高樹齢の杉をうちではそう呼んでいます。若い木より年季のある木の方が香りが濃厚なんです。人間と逆かもしれませんが、年をとった方が血の気が多い。間伐材ではたいした効果がありません。

 よく埼玉県産の木を使わないかと言われますが、埼玉産では高品質の「百年杉」をビジネスとして提供するには量が少な過ぎます。だからうちは、三重・和歌山県産の杉を使っています。

-杉材の香りの効果をうたっているわけですね。

加藤 杉材の精油分が香りになりますが、眠りに対しての鎮静効果が認められるケースが多くあります。高樹齢の「百年杉」の香りの強い床材にしたら前より眠れるようになったとか、切花が長持ちするようになったとかの声をいただきます。

 それだけでなく、杉材に触ると、私たちの身体から出ている湿気を吸い取ってくれます。ですからベタつかずにとても心地よい。人が杉に触れると、皮膚から脳に好適であるという指令が行くようです。すると脳から各臓器に「easy!」のような信号が送られ、健康の大元である免疫力のアップとか、心の問題にも関わってくるように考えています。

-杉材の効果は学問的に言われているのですか。

加藤 20年近く前に、森林総合研究所による自律神経と脳に作用し鎮静効果が認められるとの研究がありました。その後、川井秀一京都大学教授は、杉の香りの中にセドロールという鎮静効果のある物質が入っていることを発表。また、岐阜大学の光永徹先生は、マウスの実験で、杉の香りを吸引させると副交感神経が緩やかになるばかりか交感神経も抑制されるとの研究成果を得ています。

「杉しごと」しかやらない

-「百年杉」でどのような製品を提供されているのですか。

加藤 レギュラーのものではベッド。その他、様々な注文家具。あとは木口パネルです。木は天と地の木口面の方が湿気などを吸収、放出するする能力が格段に高い。そこで木口が前面に出るようなパネルを作りました。これをベッドにもつけていますし、壁に貼るとか、様々なパーソナルユースを想定しています。

百年杉のベッド 

百年杉のベッド

木口パネル

木口パネル

-リフォーム工事も請け負うのですか。

加藤 僕は杉をたくさん使ったリフォームなら数千万円の大規模な工事も数十万円でもやります。しかし、基本的には「杉しごと」しかやりません。家具も、杉の家具なら、既製品のベッドもあるし、オーダーでも作りますが、ケミカルな素材の家具は原則的にはお引き受けいたしません。

-加藤さんは元々材木屋さんですか。

加藤 父が始めた材木屋は、納材屋と言い、マンションなどの内部に使う木材を扱っていました。しかし、マンションは木など使わなくなりました。僕は学校を出て木材の修業の仕事に就きましたが、ビニールに木目を印刷したような材料を使いたくなかった。ちゃんとした木を扱いたいと、10年ほど前に、「適材適所の会」という社団法人を作って、日本の木を使っていこうという取り組みを始めました。その後、元々好きだった杉の木にコミットして、前述の通り、今は「杉屋」みたいな感じです。

-杉に着目したのはどうしてですか。

加藤 元々、なぜか特に杉が好きだったのです。しかし、杉は、花粉症の発生源とされ、また戦後の政策で杉の木を植え過ぎ余っています。お金にもならず、人気もない木です。

-注目し、杉についていろいろ研究されたわけですね。

加藤 10年間くらい、杉のストロングポイントを探求しました。すると医療従事者とかいろいろな分野の専門家が知恵を貸してくれました。その中で、残念ながら杉の良さが特に自覚できるのは体に不都合がある人になりますので、自分なりに推論を立てて、各種症状にお苦しみの方々に試していただきました。たとえば睡眠薬がないと眠れない人が周りに杉を置いて眠れるようになった、杉のおかげで薬と縁が切れたとか・・・。今まではそうやって無償で杉を配っていましたが、最近はそれをビジネスにすることがようやく始まったところです。

脳の問題を改善した例も

-ホームページが充実していますね。

加藤 最近ホームページを強化しています 僕の今までの勉強、推論、試していただいた方からのフィードバックなどを、集中連載と言って、30話くらい書こうと思っています。使用していただいた方に感想を述べていただく動画もアップしました。

-書籍にも載ったのですか。

加藤 船瀬俊介著『奇跡の杉』で、私が40ページにわたり取り上げられました。

-体験者の声は。

加藤 やはり睡眠が一番ですが、それを通じて脳の問題を改善した例もあります。自閉症を含む発達障害も、眠れない子が多い。眠れるようになることによる各種症状の改善ももたらされています。認知症が進行していたお年寄りが、杉のベッドに寝てから止まったかのようなかつての自分を取り戻したケース、夜中に起き暴食していた先天性脳障害の子が杉のベッドを使ってから暴食の行動が抑えられるようになったという個人の感想など、充実した睡眠で、脳の改善、成長が可能になったのだと思われます。

-お客さんの反応はどうですか。

加藤 杉しかやりませんが、マーケットは日本中で、北海道から沖縄までご発注はいただいていいます。

-加藤さんの力で、杉の良さが、広く認められるようになるといいですね。

加藤 邪魔者扱いされている杉林が宝の山となれば、日本中に産業、雇用も生まれるし、緑も保全されます。ただ、今の世の中はすぐに「エビデンス」を要求します。でもサイエンスごときでは立証不可能な森の恵みですので、きちんとその証明のために時間をかけるより、わかってくれる人たちの命が杉によって太くなっていって、ハッピーになる人の数を増やせたらよいと今は思っています。

加藤社長

加藤社長

加藤木材ホームページ http://woody-katoh.com/

(取材2016年6月)

  
☆2016年8月11~17日、東京・渋谷のヒカリエ8階(8/CUBE2)にて百年杉の展示会が開かれます。

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