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小さくても 「ピカイチ」のまちづくり 三芳町 林いさお 町長

三芳町の林いさお(伊佐雄)町長は、2018年12月の選挙で3選を果たした。農業政策、福祉、教育など多様で斬新な政策を推し進め、三芳町は小さくても「ピカイチ」のまちに変貌しつつある。日本青年会議所における国際ボランティアの経験などから、東京オリンピックに向けオランダのホストタウンとなるなど国際交流にも力を入れる。

林いさお(伊佐雄)
1957年(昭和32年)生まれ
國學院大學大学院文学研究科修士修了
2007年 三芳町町議当選
2010年 三芳町長当選
2014年 三芳町長当選
2018年 三芳町長当選
<主な公職歴>
入間東部地区消防組合・衛生組合管理者、消防団団長、
東入間青年会議所理事長、日本青年会議所理事、
NPO法人国境なき奉仕団理事

東京五輪、オランダのホストタウンに

―今回3期目の当選を果たされたわけですが、一言お願いします。

 大勢の皆さんにご支持いただき、当選することができました。あらためて初心に帰って住民の皆さんの福祉の増進、町政進展に尽力していきたいと思います。

―これまでの実績を振り返って、どのような点を訴えられたのですか。

 選挙中も、これまでに実現した主な事業として以下を掲げさせていただきました。

(1)全小学校にエアコンを設置しました。

(2)子どもの読書活動に力を入れ、「よみ愛・読書のまち」宣言を議会で採択しました。

(3)マレーシアに中学生の海外派遣を行い、国際交流を進めてきました。平成29年12月には、同国ペタリング・ジャヤ市と姉妹都市提携を締結しました。

(4)東京オリンピック・パラリンピックにおいて、オランダのホストタウンとして正式に登録されました。地元の淑徳大学が女子柔道の強豪校で、かねてオランダ女子柔道チームの受け入れについて交渉を進めてきた結果です。

マレーシアとオランダとの交流で、町が元気になる国際交流の推進の手だてができたのかと思います。

(5)高齢化社会を迎え、いかにお年寄りが元気な町を作るかが大事な課題ですが、「みよし野菜食べて歩いて健康長寿事業」を3年間実施。これにより男性は31000円、女性は67000円の医療費の抑制効果があったということで、埼玉県健康長寿優秀市町村として知事から表彰を受けました。

交通弱者対策、新たな公共交通

(6)三芳町は鉄道駅がなく、新たな公共交通導入ということで、デマンドタクシーを導入しました。ただ、2年半実施して利用する人、エリアが限られるということがあり、いったん中止。現在は、ライフバスとタクシーの利用補助事業を試行しております。今後も広く意見を聞き、交通弱者対策をしっかりと進めていきたいと考えています。

(7)鳥取県が最初に始めた、あいサポート運動という、障害者とともに生きていこうという運動を開始。27年には県内でもいち早く手話言語条例も制定しました。

(8)三芳町は田園風景、武蔵野の雑木林が多くありますが、年々開発で減ってきておりその保全が大きな課題です。そこで役場近くの「藤久保の平地林」を埼玉緑のトラスト保全14号地と指定していただき、県と町で保全を進めることになりました。

(9)三芳町川越いも振興会が27年の農林水産祭で天皇杯を受賞しました。

落ち葉堆肥農法が日本農業遺産に

(10)三芳町は農業の町でもあります。三富新田は320年以上前から雑木林の落ち葉を使う落ち葉堆肥農法が続けられ、生物多様性、景観、伝統、文化が守られてきました。世界農業遺産に申請していたのですが、29年に日本農業遺産に認定いただきました。これにより、地元の農家の皆さんも伝統的な農法に対して誇りを持つことができました。

(11)去年は地方自治法が施行されて70周年の年でした。当町は地方自治の充実発展に寄与したとして県内で唯一、総務大臣表彰を受けました。町の広報誌「広報みよし」が広報コンクールで日本一になったこともありますが、住民の皆さんと一緒に課題を解決してきたという協働のまちづくりが評価されたといえます。

(12)東上線鶴瀬駅に近い藤久保地域の第一区画整理事業が竣工しました。

―盛りだくさんですが、特に町長の思い入れが強い事業は何ですか。

 農業遺産、農業政策、福祉政策、公共交通、国際交流などでしょうか。小さな町ですが、幅広く施策を展開して、いろいろ経験を積み上げていきたいと考えています。

関越道三芳スマートインターのフル化

―今後3期目に入るわけですが、重点施策は。

 選挙で「未来創造32の宣言」というマニフェストを掲げました。今までの行政を継承しながらも、特に力を入れていきたいのが、第1に財政基盤の確立です。少子高齢化、人口減少が進む中で、当然社会保障関連費は右肩上がりで上がっていきますし、老朽化した設備も更新が必要になります。各自治体はどこも厳しい財政事情を抱えていまして、我が町も財政基盤をしっかりしていくことが大きな課題です。今三芳町は地方交付税不交付団体ですが、ギリギリでやっています。財源の確保という意味では、去年ふるさと納税が2億1000万円で県内で3番目でした。合わせて企業誘致に力を入れていこうと思っており、そのために関越自動車道の三芳パーキングのスマートインターチェンジを上り方面にも入れるフル化の準備を進めており、企業の誘致を後押ししたいです。

藤久保地域公共施設の複合化計画

公共施設の老朽化との関連では、鶴瀬駅寄りの藤久保地域は町民の3分の2くらいが住んでいますが、小学校、公民館、図書館、商工会館、児童館などという拠点があり、それぞれ40年以上たちます。これらを、複合化し、民間活力を活用してにぎわいのある商業施設の加えながら、町の拠点、シンボルにしていこうという計画があり、今年から基本構想を作り始めました。

財源を確保しつつ、快適で安心・安全のまちを作っていき、福祉と教育に力を入れていきたい。教育はグローバルな人材を育てていくという意味では、ALTの増員、英検受験の促進、ICT環境の整備などに力を入れます。

三芳は人がやさしくてあたたかい

―町長さんから三芳町のアピールをしていただけますか。

 三芳町は、都心から30キロ、一番東京に近い町です。豊かな緑、自然が残っている農業の町でもあります。非常に生活しやすい、過ごしやすい環境にあります。一方で、昼夜間人口比率で、昼間人口の比率が多い。事業所が多く、多くの人が三芳町に働きに来てくれる。その事業所に町の財政を支えていただいている。生活するには自然が豊かで快適であり、おいしい野菜もあり、一方では働く場がたくさんある。生活してよし、働いてよしという町なのかなと。

それと人がいいです。やさしくてあたたかい。320年以上前に三富新田は柳沢吉保公によって開拓されたのですが、「富」は論語からとっており、豊かにする、そのために人を育てていうということがベースにあります。どんな人を育てるかというと、思いやりのある人、まじめな人をという価値観です。そのため、三芳町の人にはやさしい人、あたたかい人が多いです。

―サツマイモ生産をはじめ農業がしっかりしていることも三芳の大きな特徴ですね。

 農業後継者率も県内で一番高いです。先人たちが開拓した土地で農家をしており、先人たちの思いはずっと継承されている。それぞれの農家が使命を感じてしっかり農家をやっていることで、結果として後継者がしっかり育っているのだと思います。

個々に魅力ある地域が広域に連携

―ふじみ野市、富士見市との合併問題にはどのようなお立場ですか。

 今、2市1町は、警察、消防、衛生、医師会など広域でいろいろな事業をやっており、連携は図っていかなければなりません。一方で今は地方創生の時代で小さな町や村でも個々に魅力ある地域にしていこうという流れがあり、逆に合併しなくてよかったという声もたくさんある。小さくても輝くまちを作れる。その中で、テーマごとに広域連携を進めていけばよいのではないでしょうか。

代々神明社の神主

―林町長のお宅はイモ農家だそうですが、先祖は三富新田の開拓農家だったのですか。

 最初に開拓で入ったうちの1人です。初代は伊左衛門と言います。私は12代目です。

―代々神明社(所沢市中富)の神主さんをされているのですか。

 元々は開拓の農家でしたが、明治になり神仏分離があり、お寺(多聞院)の中の神社が分かれて神明社に。その時神主さんがいなかったので。うちのひいおじいさんが神主さんを始めました。今は、私は公務があるので、息子が神主をつとめています。

JCで国際ボランティアの経験

―林町長は、ボランティア活動に熱心ですね。

 日本青年会議所(JC)に国際貢献をする委員会があり、そこで活動していました。
最初フィリッピン、タイ、バングラデシュ、ケニアとかに学校、病院の建設、物資の支援とかずっと関わりました。現地に行くことによって自分自身にとっても多くを気づかされました。国内でも阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震のボランティアにも行きました。その時は、職員も連れてゆき、経験をしてもらいました。

―趣味は。

林 音楽鑑賞。クラシックとか。あとは読書。ロードバイクにも乗ります。

―町長の仕事はどうですか。

 使命がありますから、365日、24時間、仕事から離れることはないです。忙しくて大変だけれど、きばらず、自然体で尽力していきたいと思っています。

(取材2018年12月)

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