
『障害者福祉ビジネス』(市川亨、集英社新書)という本を読んだ。急拡大している障害者ビジネスのカゲの部分を告発する書であり、私にとって大いに啓発された。第1に、著者のジャーナリストとしての姿勢・能力・成果である。市川氏は共同通信の記者で、調査報道と呼ばれる、あるテーマを時間をかけて取材する部門に属し、長年障害者ビジネス問題を追い続けてきた。その取材成果はめざましく、2024年にはPDハウスというパーキンソン病専門ホスピス型住宅を運営するサンウェルズの不正請求を報じ、同社の株価は暴落、特別委員会の調査で不正が認定され、社長は辞任した。他にも複数の告発・問題提起記事を連発、2025年には日本医学ジャーナリスト協会賞優秀賞を受賞している。お子さんが障害者であるということもエネルギーになっていると思われるが、事業者の職員をはじめ関係者に丁寧に聞き取りを進めるなど努力には頭が下がる。
第2に、障害者ビジネスの闇・カゲの部分に改めて目を開かされたことだ。同書が取上げているのは、障害者グループホーム、精神科訪問看護、ホスピス型住宅、就労支援A型事業所、障害者雇用代行ビジネスなどで、それぞれ社名をあげ、実際の不正・不適切事例を紹介している。実は、弊紙も障害者問題は重点的に取上げ、先日もグループホーム、ユースタイルラボラトリー社を掲載した(同社については本書の告発対象にはなっていない)。近年それぞれの障害者ビジネス事業者が急増し、市場が急拡大している。それだけニーズがあるということだが、同時に事業者にとってうまみがあるということだ。この人手不足の時代に、重度障害者や難病患者の世話をするのは並大抵のことではない、どこかに収益が上がる工夫やからくりがあるのだろう。本書はそれを明らかにしてくれた。ただ、不正はもちろん許されないものの、グレーゾーンにおいてある程度のゆるさ、許容も仕方がないという面もあるのかもしれないとも感じた。難しい問題だが、最終的にはそのビジネスが本当に役に立っているかどうかであろう。
