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腰痛を改善する マッケンジー法

「腰を反らすのはよくない」など腰痛に関する旧来の常識をくつがえし、腰痛解消法として注目されているマッケンジー法。どんな方法でどんな効果があるのか。国際マッケンジー協会日本支部(富士見市)支部長の岩貞寛さんにご説明いただいた。

ロビン・マッケンジーが1950年代に考案

―マッケンジー法とは。

岩貞 元々はニュージーランドの理学療法士、ロビン・マッケンジーが1950年代に考案したメソッドです。世界中に広まっていますが、日本に正式に入ったのは2000年で、20年もたっていません。


―腰痛を治す方法ということでしょうか。

岩貞 簡単に言えば、自分の健康を自分で管理していくために必要なメソッドの一つです。たとえば痛いとか、しびれるとかいう症状で、生活に支障をきたしている状態、これをいかにして自分のもっている資源を活用して、困っている状態から困っていない生活に戻していくか。そのためには、普段の生活の中でどういうことに気をつけて過ごしたらよいかを、私たち専門家がアドバイスをして、場合によってはお手伝いをする、ということです。

―生活も対象になるのですか。

岩貞 生活そのものをきちんと整えていかないと、人間の健康は取り戻していけません。単に治療院に行って施術してもらっただけでは、健康は取り戻せないという考え方が根本にはあります。

―それでも施術がベースにあるわけですね。

岩貞 もちろん、施術者が手を触れて施術もしますが、それより大事なことは本人がどのような姿勢とか、体操をするかの方が重要視されています。一般の方はどんな姿勢をすればよいか、どんな体操をすればよいかわからないので、あなたはこういう姿勢、こういう体操ということを専門家にきちんとアドバイスを受けて、健康を取り戻していく。施術者による施術は、本人がやるべきことはやったが、どうしても超えられない壁が出てきた時に初めて加わります。

腰を後ろに反らす体操

―体操はどういう体操ですか。

岩貞 その人が今痛みやしびれで困っている、あるいは硬くて困っている、それらの問題を解決するために必要な姿勢や体操です。具体的にあなたの場合はどうするかは、その人の状態を調べてみないと、いいとか悪いとか基本的には言えません。

―姿勢は日常生活での姿勢ですか。

岩貞 普段の座っている姿勢、立っている姿勢、作業をしている姿勢、寝ている姿勢、歩くときの姿勢、まずそれをきちんと管理する。あとは、その人に会った体操(エクササイズ)で、どんなことをやったらいいか。

―腰をそらす体操が多いのですか。

岩貞 ロビン・マッケンジーがマッケンジー法を考案したのも、ある時偶然「腰を反らすことが腰痛解消につながる」ことを発見したことによります。腰が痛くて困っている時、結果的に一番多く採用される動きは腰を後ろに反らすことです。ただ、それだけでなく腰を前に曲げる体操もあります。その方の状態に合わせたエクササイズを選択しなければならず きちんと調べることが必要です。

―腰を反らす体操は常識と異なるわけですか。

岩貞 ここ10~15年は腰を後ろに反らせることに抵抗は少なくなったですが、20~30年前は腰痛の人は腰を反らせてはいけないというのが整形外科の主流派でした。

―マッケンジー法が道を開いた面があるのですか。

岩貞 そうですね。やはり、腰痛の人が腰を反らすことが受け入れられる大きなきっかけを作ったことは確かだと思います。

―マッケンジー法が世界に広まったのは 何が評価されたのですか。

岩貞 ロビン・マッケンジーが1980年頃にアメリカの理学療法士の人からセミナーを開いてくれないかと招待されました。そのセミナーで実際に腰痛の人に来てもらい、施術をした。それが参加者にインパクトを与え、あちらこちらから声がかかり、アメリカでマッケンジー法が広まったのがスタートです。

様々な職種に認定資格者

―施術はどのような。

岩貞 整体の方も使われるし、病院で理学療法士がやるのも、施術はいろいろな職種の人が行うすべです。技術としては、体操をさせるのも、関節を動かす、神経を伸ばす、マッサージなど全部含みます。

―マッケンジー法で施術をするには資格がいるのですか。

岩貞 国際マッケンジー協会が認定の資格を設けており、資格者がマッケンジー法を行いますと宣言して、やれるわけです。

―資格を取得するには。

岩貞 セミナー(4回、各4日)を受けて、協会の定めた試験に合格すれば、職種に関係なく認定セラピストとして名乗ることができます。看護師の方、カイロプラクター、トレーナー、理学療法士、医師、作業療法士、様々な職種の方が資格を持たれています。

―それぞれの職種の方の治療効果が高まるということですね。

岩貞 当然それを期待しています

―脊柱管狭窄症とか病気自体に効果があるのでしょうか。

岩貞 病気自体が治ると言うと法律的に問題になりますし、治っているかどうかはわかりません。ただ、痛みという困っている状況から脱出することは可能です。どんな診断名がついていても、それにはとらわれません。

本を読んで自分で実践も

―マッケンジー法は自分で本を読んで使えるのですか。

岩貞 できます。実際、『自分で治せる 腰痛改善マニュアル』(ロビン・マッケンジー著)

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というタイトルの実業之日本社から出ている本があり、一般書籍の形で書店で並べられています。その本を一般の人が読み、自分で実行することは可能です。実際にそれでよくなったという方もたくさんいます。

―岩貞さんは元々理学療法士なのですか。

岩貞 資格としてはそうです。

―マッケンジー法に興味を持ったきっかけは。

岩貞 元々は私は脳血管障害で半身不随などになった方のリハビリに興味があり、その方面の病院に勤めていました。そこでは肩が痛いとか腰が痛いとか痛みを訴える方が多くいました。それに対し私が何もできなかった。その中でアメリカに留学することがあり、そこでマッケンジー法を紹介されセミナーに参加しました。セミナーでは、皆さんが見ている前で実際にマッケンジー法をやってみせる。これを自分も身につけたいと思いました。それが1998年のことです。

―岩貞さんが国際マッケンジー協会日本支部を立ち上げられたのですか。

岩貞 私が中心になって手続きを。

―マッケンジー法で効果みられた例をあげていただけますか。

岩貞 すごく喜んでいただいたこともあり、お役に立てなかったこともあります。私が書いた『この動きを習慣にすれば腰痛は自分で治せる』(実業之日本社)という本がありますが、その中に私が担当した4名の方の体験談が載っています。

自分の健康は自分でしっかり管理する時代

―認定資格者は今どのくらい。

岩貞 300名以上はいます。ただ、分布に偏りがあり、1人もいない県もあります。広めていくことが私の仕事です。

―マッケンジー法が広まっていくことは世の中にどう貢献すると言えますか。

岩貞 自分の健康は自分でしっかり管理するという考え方がこれからの日本には絶対必要だと思います。これまでは専門の医師やセラピストに治してもらうという社会通念がありました。それでは社会は成り立っていかない。自分の健康を自分で管理する一つの道具としてマッケンジー法は役立てていけるのではないかと思います。

国際マッケンジー協会日本支部

(取材2019年4月)

 

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