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オリンピックへの空手競技採用に多大な貢献をした橋本岩樹リゾン会長死去

朝霞市に本社を置く不動産会社、リゾンの橋本岩樹会長が2022年5月11日、死去した。75歳だった。橋本会長は、リゾンを地域の有力不動産会社に育て上げ近年はまちづくり会社として新しい展開を図りつつあった。また永年空手道に取り組み、全日本空手道連盟常任理事・糸東会副会長として空手界のリーダーの一人だった。2020年(21年開催)の東京オリンピックでの空手競技採用に多大な貢献をした。橋本会長の思い出と、リゾンの経営について、ご子息の橋本太樹社長にお話をうかがった。

故橋本岩樹リゾン会長

橋本岩樹 1946年生まれ。東洋大学工学部・日本大学理工学部大学院修士課程卒。1971年、橋本不動産(リゾンの前身)入社、1981年社長、2017年会長。高校時代から空手を始め、大学では主将を務める。第1回空手道世界選手権で団体戦準優勝。全日本空手道連盟でオリンピック担当となり競技種目採用に尽力。糸東会八段・範士、全日本空手道連盟公認7段。2022年5月逝去。

(本記事と併せて、「東上沿線物語」第19号=2008年11月「全国と世界の集結の場糸東会本部道場」記事の一部を再掲しました)

リゾンの橋本太樹社長インタビュー

会長がリゾンを大きくし、まちづくり会社に転換

―橋本岩樹会長はリゾンの創業者ですか。

橋本 当社の前身は橋本不動産ですが、1957年に私の祖父に当たる橋本定雄が創業しました。岩樹会長は71年に入社、81年に社長になり、88年に現在のリゾンに社名を変更しました。私が社長になったのは2017年です。

リゾン本社(朝霞市西弁財)

―岩樹会長の実績は何だと言ったらよいですか。

橋本 創業者の築いた基盤を大きくしたのは会長です。さらにその上で不動産会社という枠を取り払ったまちづくり会社の方向に転換した人です。

―新しい方向転換とは。

橋本 従来の不動産会社は土地の売買、賃貸とか取引しかやらない。うちのビジョンは①真善美あふれる街並みを作ろう、②お客さまの永続繁栄の絆を作ろう、③生涯健康・生涯現役、④地域の安心安全を作ろう、という点に関与していこうと。15年ほど前からこの方向で進めています。

―空手の世界での活躍も大きいですね。

橋本 空手は16歳で始めてからずっと打ち込み、去年も大会に出ていました。バルセロナオリンピックの頃から空手をオリンピック競技にしたいと夢を持ち、全空連のアジアの代表の世界理事になってずっと第一線で動いていました。決まった時みんなで万歳をしていました。

殺人的なスケジュール

―会社の仕事と空手の両方で大変だったと思いますが。

橋本 人間あそこまで動けばここまでやれるんだなと、身近で示してくれました。私があの動きをしたら60歳で死にます。分で動く。同じ会社にいてアポイント取るのに今日、明日では無理でした。

―社長も空手をされる。

橋本 私はやりません。弟はやっていますが。

―朝霞にある糸東会本部道場はどうなりますか。

橋本 株式会社リゾンと直接の関係はありませんので、そのままです。

リゾンについて

成増からみずほ台まで支店

―リゾンは元々どのようにして始まった会社ですか。

橋本 橋本不動産の創業の頃は元々山から竹を採って竹細工を作っていました。それから地主の山の売買を手伝い、売買仲介に。岩樹会長が入ってからは賃貸も手がけるように。

―現在の事業内容は。

橋本 ビル・アパートなどの企画・設計、賃貸管理、戸建て分譲、住宅の売買仲介などです。賃貸ではアパマンショップのメンバーです。

―地域は。

橋本 東上線の駅では、成増からみずほ台まで支店があります。他に武蔵野線新座、西武池袋線の石神井公園と東久留米です。

―リゾンとは?

橋本 「lively」(生き生きとした)、「zone」(地域)の意味です。

「ふるさとまちづくり」とは

―会長が始められた「ふるさとまちづくり」について具体的に教えていただけますか。

橋本 地域の方々とつながりたかったのです。賃貸や売買でお客さんになったいただいても、それだけではその後リアクションがありません。普段からイベントなどで楽しく付き合っていれば、それだけ住む人の満足度も上がるし、いつか新しいお客さんを紹介してくれるかもしれない。地域の人達、団体、行政と深くつながり、まちづくりを実践していこうということです。

―たとえば。

橋本 みんなで駅前の掃除をしたり、お祭りを開いたり。弊社の本社1階にはパブリックスペースを設けてイベント用に貸し出しています。

区画整理、企業誘致

―まちづくりに関してハード面の事業もされているそうですが。

橋本 ハード面のまちづくりとして一つは区画整理事業があります。今、和光市の越後山 区画整理事業に業務代行者として弊社が参画しています。他にも朝霞市、新座市などで実績があります。朝霞の東地区では地権者90名、約2万坪の大規模区画整理事業も近く動き出します。

和光市越後山区画整理地区・中央公園

―ハード面では他に。

橋本 企業誘致があります。2018年に朝霞台中央総合病院が東洋大学跡地に移転してTMGあさか医療センターとしてオープンしましたが、この事業も弊社が手がけました。元々 東洋大を誘致したのもうちでした。今他にも複合店舗を誘致するなどの案件があります。

地元のコミュニティFM局

―地元のコミュニティFM局の経営もされている。

橋本 「775ライブリーFM」という地域のFMラジオ局を運営する株式会社コミュニティシェアFMという会社があり、橋本岩樹会長が社長を務めていました。元々2007年に「すまいるFM」という放送局が開局、その後別の法人に移り、さらに2020年から、当社が運営を引き受けることにしました。

顧客を企業に広げる

―太樹社長は何歳ですか。

橋本 1974年生まれです。

橋本太樹リゾン社長

―社長として取り組んでいきたいことは何ですか。

橋本 創業者の作った基盤を会長が広げてきました。私も父の築いた基盤の上に立っています。私の仕事は、それを今より強く深くして次の世代に渡すことだと思います。方向性は間違いないので大きく変えていくことはしません。ただ、今まで地域の農家さんが主なお客さんでしたが、私はそれを地域の企業に広げていくことに力を置いて取り組んでいます。 (取材2022年9月)

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2008年記事

空手道糸東会 全国と世界の集結の場 糸東会本部道場(朝霞)

朝霞台駅近くの武蔵野線線路沿いにある「糸東会本部道場」。空手4大流派の一つである糸東会の全国と世界の総本部であることを知る人は少ない。2008年11月には、日本武道館で、糸東会も構成員である全日本空手道連盟・世界空手連盟による世界空手道選手権大会が開かれる。目指すは空手の普及、オリンピック種目への採用である。糸東会本部道場の副道場長、全日本空手道連盟糸東会の副理事長、事務総長でもある橋本岩樹さん(リゾン会長)に、糸東会と道場の紹介をお願いした。

(「東上沿線物語」第19号=2008年11月「全国と世界の集結の場糸東会本部道場」記事の一部を再掲します。当時と状況が変化している部分がありますが、そのまま掲載してあります)

糸東会本部道場(朝霞市)

実戦に即した糸東流 全国に約2万名

―糸東会とは。

橋本 空手には、和道会、糸東会、剛柔会、松濤会の4大流派があってその一つです。沖縄の摩文仁流祖が始められた糸東流を学ぶ。

―糸東流の特徴は。

橋本 流派は型を教えるわけですが、その型が地味だが一番実戦に即したスピードのある動きを取り入れていることです。門弟は約2万名います。

―道場ができたのは。

橋本 1997年に、全国の480の道場の人たちの集結の場として作ったんです。全日本空手道連盟糸東会、世界糸東流空手道連盟の総本部です。世界63カ国に支部があります。

―本部道場ではどのような行事が。

橋本 本部道場としては、師範、準師範、助教の講習会、資格審査、選手の強化練習、正副理事長会議に始まる各種の会議とか、常にいろんな行事が開かれています。段位は3段までは地方で、4、5段はここで。

―道場としての機能もあるわけですね。

橋本 今120名くらいが、年齢によって4クラスに分かれて、月水金の週3回稽古しています。

―稽古の内容は、

橋本 3歳ぐらいの子は遊びから始め、好きになってから技術を教える。小学校高学年以上でしたら、空手に必要な突き、けり、移動をまずしっかり身につけさせる。それから型を教えて応用していく。上級になったら組み手を教える、ということになります。

―高齢者でも。

橋本 60歳くらいで始めた人がいます。うちの宗家は90歳で、今でも一人で外国に教えに行っています。生き神様みたいな人です。

―橋本さんも現役。

橋本 今年、マスターズという60歳以上のクラスで優勝して、埼玉の代表になったんですが、肩を痛めまして。

―会として課題は。

橋本 糸東会としては、来年世界大会があるので、その準備があります。それと、世界に対する普及と指導強化、もうひとつは底辺を広げる教え方でしょうか。

世界空手道選手権大会 五輪種目入り目指す

 糸東会は橋本さんを中心に、全日本空手道連盟が11月に開く世界大会に重要な働きをしている。ロンドン大会からの空手の五輪種目入りが有力という。

―財団法人全日本空手道連盟の理事をされているそうですが、これはどういう組織ですか。

橋本 全日本空手道連盟は国体を運営し、JOCアジア大会に加盟している。この連盟は6つの団体が作ったんですが、糸東会もその一つです。連盟の下に各県に競技団体があり、道場に関係なく選ばれた人たちが戦い優秀な人が県代表になって全日本を争うしくみになっています。

―今度世界大会を開く。

橋本 今度11月13~16日に日本武道館を借りて、世界百カ国から選手が集まり、世界大会をやります。私は、その実行副本部長です。フジテレビの放映も決まっている。空手がオリンピック種目に入るという前提で進めています。

―オリンピックに入ることは決定?

橋本 まだ決まっていませんが、一番近い種目です。スカッシュ、ゴルフ、7人制ラグビー、ローラーゲームと空手の中から選ばれるんです。次のロンドン五輪からです。

―有力だと。

橋本 そうですね。今中国にはオリンピック種目以外に国家の種目はないんですが、今回空手が(国家種目に)入ったんです。バレーボールとかサッカーと同レベルなんです。中国は空手がオリンピックに入ると思っているんです。

―世界的に柔道より普及していますか。

橋本 柔道人口より空手道の方が多いと思います。現在175カ国が連盟に加盟していて、5千万人の競技人口がいます。

空手を学ぶ子供は増えているんです。いじめとかの影響と、お金がかからない。柔道は畳がいりますが、空手は外でもできます。相手もいらない。それだけ手軽なんです。女性を見てください。空手をしている女性はきれいですよみんな。

―空手のすすめ。

橋本 人間も動物ですから、相手に負けちゃうとしたらいい事も言えないじゃないですか。やはり体を鍛えて技術を磨くことで自分の思っていることを堂々といえるようになることが一番の基本でしょう。加えて、親が今できない礼とかしつけをするのに、一番簡単なのが空手だと思うんです。

糸東会本部道場での稽古風景(2008年当時)

 

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