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貧困の原因

 ある勉強会で、毎日新聞の東海林(とうかいりん)智記者の話を聞く機会があった。労働・貧困問題の専門家で昨年の年越し派遣村の運営にもかかわり、著書『貧困の現場』でも知られる。
 私自身は昨年の後半、特にテレビで「派遣切り」、「貧困」の報道が相次いだとき、やや奇異な印象を受けたし、やり過ぎではないかとも思った。
 今回お話を聞いて、現場の意識、空気がよき理解できた。東海林記者は、派遣切り、ネットカフェ難民、過労死など、現代の労働者の過酷な状況を徹底して追求し続けており、その純粋な情熱には敬服しました。
 ただ、私自身は経済畑なので、どうしても「昨今の貧困問題の根本の原因は何か」に関心が行ってしまいます。
 私なりに分析すると、
 ①なんと言っても、日本経済が傾向的に低成長であることです。そもそも全体の所得が増えていません。
 ②しかもグルーバル化の進展で、日本経済は中国をはじめとする新興国と一体化しつつあります。グローバルな世界では、非熟練労働の賃金は同一レベルに収斂するといわれています。
 ③上記①、②とも関係していますが、企業が「人件費の変動費化」に力を入れだしたことです。賃金・社会保険料負担が高く、いざというときも抱え続けなければならない正社員でなく、パートや派遣社員を増やそうということになります。
 ④上記③の流れを促進したのが、派遣業規制の緩和など、労働関係の規制緩和です。

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