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自然を感じられる雑木の庭 中央園芸(寄居町)

寄居町にある造園会社、中央園芸(押田大助社長)は、「雑木の庭」づくりに取り組んでいる。コナラやヤマザクラ、モミジなど雑木を使うことで、里山の豊かな自然環境を暮らしの中に再現し、四季が感じられ、自然を身近に感じることができるという。2025年10月、よりい里山文化祭の一環として、中央園芸のモデルガーデンの見学会が開かれ、押田社長と自然観察指導員の岩田美沙子さんにご案内いただいた。

中央園芸押田社長
中央園芸押田社長(右)と岩田さん

リサイクル率はほぼ100%

 うちは主に造園工事をやっていますが、剪定した枝は全部ストックしている。葉っぱで腐葉土を作り枝はチップにして造園の工事で使う。現場で仕事をしていると、コンクリートのガラとか石、根っことかいろいろ出てくる。普通は産廃業者に持っていくが、うちは環境改善資材として再利用しています。放置竹林とか竹やぶの竹は、燃やして竹炭にして工事で使う。落ち葉をうちは大量に使うので、フレコンバッグにためたり、街路樹の落ち葉の交換会とかでいただいています。ビニールなどが出るとさすがに無理ですが、それ以外はほとんど再利用、リサイクル率はほぼ100%に近いと思います。 

植木生産も

 植木生産も結構やっています。うちは元々植木屋だったので施設もあります。ドングリとか種から育てた植木を畑に下ろして、植栽に使っている。造園工事の3割から半分くらいは自分のところで作ったものを使っています。 

モデルガーデン コナラ、ヤマザクラ、モミジ、アオキ・アジサイ、下草で階層

 ここはうちの母屋で今は親が住んでいます。

中央園芸モデルガーデン
中央園芸モデルガーデン

 僕も、京都とかの庭が好きで最初はモミジやツツジの庭を造っていたんです。千葉の高田造園さんに会ってこれからは雑木の庭がいいと言われ、造り替えて12年たちました。

植えているのは雑木ですが、一番大きいのはコナラ。最初から6、7㍍あったのですが、今15㍍くらい、2階の屋根を超えるくらい。僕の造園では、2階の窓を開けた時に木が見えるようにしたい。すると最低5㍍くらいの木が必要です。  

コナラ
コナラ

 株立ちの木がヤマザクラ、寄居町の木です。その下にモミジが植えてある。最初はモミジばかりだったが、モミジは直射日光に当たり過ぎると虫が出る。モミジは元々雑木林の中でコナラやヤマザクラの下にあるのです。

 雑木林の高木、2番手、3番手があって、その次にツツジとか大きくなっても2、3㍍の木、次の低木層はアセビとかアジサイとか、大きくなっても1㍍くらいの木。最後は下草層。森は5階層くらいになっている。この原理を守って植栽をするのが高田造園さんの雑木の庭です。僕はこれを見てすごいなと思った。

下草
下草

 ほとんど落葉樹ですが、冬は葉っぱが落ちるので、常緑樹を点々と少し入れています。たとえばシラカシ、ヒイラギ、アオキ。窓があるので、冬場目隠しにもなります。

 ここは結構涼しい。夏場、気温が36度、7度になると舗装道路のアスファルトの地面は60度くらいになりますが、ここに入ってくると地表面は30度くらい。そのくらいの変化があります。

 

普通の住宅の雑木の庭

 僕は今はこっちに住んでいます。モデルガーデンなので普通の住宅の庭で使えるくらいの小さめの木を植えて、少し狭い庭をどうしたらいいかと提案しています。家があってベランダやウッドデッキなどを作るのはそれはそれでいいですが、僕はまず家の前に木を植えてあと外周に植えて、真ん中に道を通すのを基本にしています。道は真っ直ぐにせずできるだけ蛇行させて向こうが見えないようにして歩かせる。先はどうなっているのかなと。自然の中で直線はあまりない。道も蛇行させた方が風が直線的に入らないので穏やかな風が入ってくる。道幅は1㍍あれば十分、90㎝、70㎝でも大丈夫です。

真ん中に道を通す

 木はだいたい同じ。コナラは入れたり入れなかったり。今一番人気があるのはアオダモという木。縞々の模様がある。紅葉に行く前に葉っぱが落ちてしまうが、新緑の時とか夏場はきれいです。ヤマボウシ、モミジ。あまり植えすぎると日陰になり洗濯物をどうするみたいなことが起きてくるので、ある程度すきまを入れながら樹種を選び、剪定をして調整しています。

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風の草刈り

 畑は結構広く除草剤はやらないので全て草刈りをやっていますが、うちは強い草は出ない。草刈りも比較的楽です。大地の再生では「風の草刈り」というやり方がある。地表でなく上だけ、飛び出しているのだけ刈る。草刈りを何年も繰り返すと草の種類が替わってくる。草が出るのは日が当たり過ぎるのと土の中の空気が詰まっている状態だから。停滞している場所は強い草が出る。

植木の畑
植木の畑

 

アオダモ 

 アオダモは結構出る。ホテルの庭とかに使う。縞模様が珍しいし、巨大にならないので扱いやすい。山取りと言って福島や岩手などに掘る専門の人がいて近くの植木市場でセリで買う。僕もたまには買いますが、ただ、山を買い売れるものだけ掘ってあとはポイであまりよくないなと思い、自分で植木の生産をし始めました。

アオダモ
アオダモ

 剪定枝は腐葉土、チップに

 剪定枝をトラックで積んできてここで下ろして置きます。下は土になっていく。踏んで圧をかけると分解が早くなり、どんどん小さくなる。細かい枝は機械でチップにして、太いのは杭で使ったり。根っこも意外と土留めになったり。普通は処分場に持っていくがうちは全部ここで有効利用しています。

剪定枝
剪定枝置き場
チップを作る
チップを作る

竹炭

 ここで竹を焼いている。千葉のいすみ市の竹炭研究会で勉強させてもらった。45㎝の高さの鉄板で囲っている。中に空気が入らないと灰になりにくい。空気が入りすぎると燃えて灰になってしまう。

竹炭
竹炭を焼く

掘り出し

 これはアカマツで、福島の大きな生産者から買いました。個人の庭に行き、炎天下にも耐える。コナラなどに比べると高さは高い方ではない。ユンボで周りを掘ってスコップで整えてハサミで切って。麻布、麻紐で巻いていく。昔はワラで巻いたが、今は材料代も高くなりました。 

アカマツ
アカマツの掘り出し

中央園芸ホームページ