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郷土検定、お囃子の発表会 地域活動を率いる 富士見市市民大学 小山健次郎理事長

地域に関する知識を試すご当地検定は、一時ブームになったが、多くは取りやめになっている。そんな中、富士見市の「郷土富士見検定」は昨年まで5年継続している。実施するNPO法人富士見市民大学では、今年は郷土の伝統を掘り起こすため民俗芸能の発表会も計画している。市民大学の事業をはじめ、主に高齢者の地域活動をリードする小山健次郎富士見市民大学理事長にお話をうかがった。

問題作成が大変

-富士見市の郷土検定はいつ始められたのですか。

小山 始めたのは平成24年で昨年まで毎年、合計5回実施しました。

-それだけ長く続いたところは珍しいのではないですか。

小山 東上沿線でも、志木、和光、川越、ときがわなどが郷土検定を行いましたが、途中で終わるところが多く、5回やったのはうちだけでしょう。県内でもそう多くないと思います。

-続けるのはそれだけ大変なわけですね。

小山 まず問題を作るのが大変です。毎年、試験は11月で、2月頃から準備を始め8月までに原稿を作りますが、その間ほとんど毎週、4時間くらい作業します。仕事をしている人は大変です。ここまで続いたのは、それだけ労力をかけてくれる人がいて 行政や資料館などの協力があったからです。

-誰が問題を作成するのですか。

小山 市民大学のメンバーと市民学芸員の人など。前回は8名です。

-事前に問題集を作るのですね。

小山 毎回350問くらいの問題集を作り、配布します。毎年ダブっているのもありますが、暮らしの問題では、行政の変化などを取り入れないといけないので、80問ほどは毎年新しい問題です。前もって勉強すればだいたい85点は取れますが、問題集に載っていない問題も出します。

のべ350人が受験

-富士見市民大学で郷土検定を実施したきっかけは。

小山 最初、平成22年春に、富士見市ミュージアムを作ろうと企画したのですが、当時各地で検定を始めたので、できる範囲で、市民の皆さんに市のことをもっと知ってもらおうということでした。

-これまでどのくらいの方が受験したのですか。

小山 子どもコース、一般(初級、上級)がありますが、合計350人くらいです。70点以上が合格で75%の人は合格しています。ただ、Aクラス(90点以上)は、3割まではいきません。100点満点はこれまで2人だけです。市会議員の方が8人受験してみなさん90点を超し98点の方がいました。

-受験者の年齢層は。

小山 65歳以上の人がほとんどです。

-合格すると。

小山 合格証と記念バッジ。それと次回の市民大学の講座を無料(運営費・保険料)で受講できます。

-費用は。

小山 実施主体はNPOですが、行政から委託金として補助が出ます。

-成果はどうですか。

小山 地元への関心を高めることができたと思います。問題集も延べ2000冊以上出ています。こういう資料は今までなかった。富士見市を多少でも知っていただける助けになったのではないか。

-主催者の皆さんにも勉強になった面があるのではないですか。

小山 自分たち自身が知らないから、まず歩いて見たり、文献をあたって深めることをしないといけません。どこでも人が続いているところは、貴重な経験がいっぱいあるのです。最初の頃は、年配の人などに尋ねても門前払いでしたが、何度か通っているうちに知っていることを教えてくれるようになり、僕らも勉強になり、はげまされました。

-6回目は。

小山 今年は富士見市民大学の40周年にあたり、2年ほど休んで、新しいスタッフを構成して再開したいと考えています。

市内のお囃子連の発表の場

-今年は他に行事を考えているのですか。

小山 40周年を記念して、公開講座、記念誌の他に文化行事として市に伝わる民俗芸能を発表できる機会を作ってみたらどうかと計画しています。お囃子とか獅子舞とか太鼓とかいろいろあります。特に、お囃子は他の地域でも発表会は少ないようですので。

-市内のお囃子はどこに。

小山 勝瀬地区と、水谷地区に7カ所の連があります。南畑地区もあったが、最近はやっていないらしいです。

-この地域のお囃子はどのような歴史が。

小山 1850年代、ペリーが来航した頃、三芳町から伝わったと聞いています。三芳は柳沢吉保が三富新田を開拓した時代から民俗芸能が盛んだったようです。

-民俗芸能を守る上で課題は。

小山 塾に通う子が多く、養成する環境が狭くなっています。したがって後継者を育てるのに困難があります。そのためにも、もっと広く知ってもらうことが大切です。

-発表会はいつ、どこで。

小山 12月から来年1月頃、キラリ☆ふじみ(富士見市文化会館)を考えています。

19年からNPO活動

-富士見市民大学は、行政主体ではないのですね。

小山 高齢者に学びの場を提供するということで始まり、公民館と大学の先生で運営されていたのですが、市民が自主的に運営するように。19年12月にNPO法人になり、私はその時から理事長を務めています。

-主な活動は。

小山 講座の開催です。文学、国際社会の動き、富士見市の歴史、行政、自然塾、木と私。29年度事業は4月10日の総会で決まります。

-会員は。

小山 NPO法人会員が68名、受講生が毎年200人余り、延べ2500人を超している(28年度)のではないでしょうか。

小山さん

81歳

-小山さんは、お年は。

小山 81歳です。

-出身は。

小山 生まれは東京・池袋で、富士見市に来たのが昭和51年です。

-サラリーマンだったのですか。

小山 せんべいの製造会社にいました。最後は中国駐在でした。

-地域活動はいつから。

小山 平成12年に退職し、2,3年してから公民館に行きました。最初は「奥の細道」の講座を聴きました。

-歴史がお好きなのですか。

小山 歴史は元々好きでした。いろいろ調べるのが好きです。

-よくあちこち歩くわけですか。

小山 市内はほとんど歩いています。見て歩くだけでなく、ポスターを掲示板に貼ってまわります。掲示板は市内に150カ所あります。そのうち100カ所は会員の皆さんと協力して活用しています。

-人をまとめるのがお上手ですね。

小山 会社時代から慰安旅行とか営業所のみんなと遊びに行くとか、連れていくことをよくしました。

-市民大学以外の活動は。

小山 「歴史にふれる会」という会の会長をやっています。メンバーが関東一円から集まり、毎月講座を催しています。講師には、大学教授、作家など現在活動されておられる方々の協力をいただいております。また、城、史跡など歴史にふれる機会を探訪というかたちで、会員の皆さんと歩いております。

好奇心を持つ

-年をとっても、いろいろ楽しまれていますね。

小山 たいくつしたことはないですね。

-有意義な老後を過ごすためにアドバイスを。

小山 何かやってみようと、行ってみようという興味を持つことです。私は会社時代営業をやっていたので1都4県を回り、週末はハイキングもよく行きました。出かけるのは苦になりません。

-好奇心が強いのでは。

小山 子供の頃、池袋からチンドン屋について迷子になり、お廻りさんに連れて帰ってきてもらったこともあったとか、母親が言っていました。

-病気はしませんか。

小山 今のところ健康です。ただ、周りの方と、それぞれ年を重ねておりますので、これまでの活動の幅が狭くなっているのが悩みの種です。新しい力が必要だと痛感しています。

(取材 2017年3月)

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