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痛みをとり、傷を治す 光線療法とは

日光浴と同じように、カーボン・アーク灯で発生させた光を体に当てることで、病気治療や健康増進を図る光線療法。最初に治療器が開発されたのは19世紀末で、歴史は古い。現在、この治療を提供しているのは、一般財団法人光線研究所(東京都新宿区)だ。光線療法とはどのような治療法で、どんな効果があるのだろうか。同研究所の黒田一明理事長(付属診療所所長、医学博士)にお聞きした。

デンマークの科学者が発明

―光線療法の始まりは。

黒田 日光浴といいますか、日光療法は古代ギリシャの時代から、病気や怪我を治したり、健康のために使われてきました。先人達は、太陽に当たると健康になるということは経験的にわかっていたのです。

18、19世紀になると科学が進み、人工的に太陽に代わる装置を作ろうということになりました。そうすれば雨でも曇りの日でも、浴びられます。19世紀末、デンマークのニールス・フィンゼンという人が、皮膚結核の尋常性狼瘡治療のため、光線治療器を発明しました。フィンゼンは、この功績で第3回のノーベル生理・医学賞を受賞しています。

―日本へはどのように伝わったのですか。

黒田 まず東京帝国大学の皮膚科がフィンゼンの治療器を導入し、光線療法を試みました。その後ドイツから光線治療器が輸入され、そこから民間に広まっていきました。

―光線研究所はその頃できたのですか。

黒田 昭和の初め頃、私の祖父、保次郎がフィンゼンの装置の原理を応用して治療器を開発、光線研究所を設立し治療法の啓蒙を始めました。その後、父が装置に改良を加えて、家庭でも使える現在の光線治療器を製作し始めました。治療は光線研究所の付属診療所で行っています。

光線研究所

―光線治療は戦前から普及していたのですか。

黒田 当時は薬や治療法も不十分な時代ですから、治せない病気も多く、それに対して治療を重ねていったわけです。

カーボンの放電で発光

―光線治療器の原理は。

黒田 原理は、当時も今も同じです。炭素(カーボン)の棒を2本電極につなぎ、先端を接触させてから少し離して電気を流すと放電が起きて約3000度の温度で燃え、発光します。これにより、太陽光線に似たフルスペクトルの可視総合光線と温熱が得られます。その光と熱を体に当てます。

―カーボンにはいろいろな種類があるのですか。

黒田 カーボンの種類は32種類あります。中に芯があり、いろいろな元素が入っています。元素によって、赤い光が多くなったり、青い光が多くなったり、変化をつけています。色ごとに、たとえば赤色光には興奮と充血を促す作用があるなど、生体は異なった反応を示します。

―体にどう作用するのですか。

黒田 光と熱がありますが、わかりやすいのは熱です。多くの病気は冷えから来るわけですから、体を温めることが病気を治す始まりになります。うちでは、どのような病気でもまず足の裏を光線で温めます。その後、腰とか腹に当て、全身の体温を上げていきます。温泉療法などでも同じですが、体温が上がれば病気もよくなっていきます。

光については、まだわからないことが多いですが、波長(色)によってたとえば皮膚病に効果があることは確認されています。また光の波長は体の中に入ってゆき、毛細血管を広げたり、ビタミンDやヘモグロビンを作るとか、光によってできる物質があります。細胞内にあるミトコンドリアという小器官があり、細胞呼吸を司っていますが、光線にはミトコンドリアの活性を高める働きもあります。これらによって本来の生理機能が活発になります。

元々地球上の生物は日を浴びて進化してきたわけですから、現在のように建物にこもって仕事をしていると本来光によって体にできるものが不足してきます。光を当てることで体が正常化するわけです。光には生体リズムを整える作用があり、現代人の不眠に応用できます。

ガンが消えた例も

―光線治療器は医療機器ですか。

黒田 そうです。家庭用医療機器として認可されています。冷え性、神経痛、リウマチ、腰痛、打撲、胃腸の働きを改善するなどの効能が確認されています。光と温熱による効果です。他の病気については、医師である私の判断で治療の仕方を決めているということです。

―特にどんな症状に効果がありますか。

黒田 やはり、一番は痛みですね。来られる患者さんも痛みを訴える人が多いです。膝が痛い、腰が痛い、首が痛い。体の温度が上がれば、改善します。

また、切り傷や火傷とか傷は、光線ですぐ治ります。

―深刻な病気にも効果がありますか。

黒田 難しい病気にも効果が出ることもあります。自己免疫病が改善したり、ガンが消えた、転移が消えたという方もいます

―病気でなくても健康で元気になれますね。

黒田 一番は血行がよくなることです。全身にかけていると、顔色がよくなります。よい効果が出ているということです。血行がよくなれば、いろいろな症状が改善し、体調もよくなるはずです。

器械を購入し家庭で治療も

―光線研究所の診療所で、光線治療を受けられるわけですね。

黒田 まず診察を受けていただいて、カーボンの種類、照射の仕方などを決めます。診療所には6床の光線治療ベッドがあり、各ベッドに4台ずつの治療器が設置されています。そこで30分程度光線治療を受けていただくことになります。

―どのくらいで効果がみられるものですか。

黒田 基本的には時間をかけないとダメです。毎日やって1週間、2週間。患者さんにはとりあえず1月やってくださいと申し上げています。1回、2回でよくなる例もありますが、よくなっても、ある程度定期的に続けた方がよいです。

―自分で器械を買って治療してもよいわけですね。

黒田 器械を買っていただき、本を読んで使ってもかまいません。ただ、カーボンの選び方や照射方法がわからない、ご家庭での治療が困難な場合は、ここに来られる方が多いですね。

今は世界で唯一の治療所

―黒田所長は元々はお医者さんですね。

黒田 祖父が光線治療を始め、父は、製造の方に携わっていました。私は、医学部を卒業して大学病院に勤務して循環器病を研究していたのですが、1983年から光線療法を引き継ぐことになりました。

黒田所長

―患者さんが多いですね。

黒田 特に宣伝はしていませんが、口コミで広がっています。痛みがとれると、同じような悩みの人にも話しをしてくれます。病院で話を聞いたという方、治療器を持っている知り合いからやってみなさいと言われ、体験したら体が軽くなったと感動して来る方が結構います。昔と比べればずいぶん患者さんは増えました。

―現在、光線治療をやっているところはありますか。

黒田 内科クリニック、歯科医院や鍼灸治療院でも、光線治療器を使っている所は多いです。

―海外は。

黒田 1980年頃までは、海外でも使われていましたが、今はありません。世界でもここだけです。

―今後について。

黒田 光の不足は病気につながります。光と熱を補うことで、皆様の健康のお役にたてるので、これからも広めていきたいです。納得した方を対象に、しっかり、コツコツとやっていきたい。光線治療は、維持継続することが大事だと思います。

☆可視総合光線治療法については、光線研究所のホームページを参照してください。

(取材2016年1月)

 

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